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Grady Booch
1955 -
オブジェクト指向分析設計:ブーチ法の考案者
オブジェクト指向設計手法としてのブーチ法は、当時できたてほやほやのコンピュータ言語 エイダ(Ada)(注1)を使ったシステム開発の中から生まれた。グラディ・ブーチは1981年頃から、80年代のほとんどをAdaでのシステム開発に従事した。その成果としてオブジェクト指向に関するいくつかの論文を出版したが、次第に彼の設計手法が知られるようになり、1989年初めてブーチ法としての集大成を出版した。「オブジェクト指向分析と設計」 がそれである。ちなみにその第2版が邦訳されている。
今にいたってはオブジェクト指向分析・設計の数ある技法を、色々比較してみてもあまり意味がないが、ブーチ法は当初設計工程に重点を置いていて、特にその表現方法が多彩であることが特徴となっていた。アメーバのようなクラス図はブーチ法独特のものだ。日本ではあまりポピュラーではなかったが、米国では数多くのブーチ法適用事例があるようだ。
グラディ・ブーチは1955年に米国(たぶん)で生まれた。ブーチは米国空軍アカデミーでコンピュータ工学を専攻し、1977年卒業した。その後カリフォルニア大学の大学院に進み、1979年カリフォルニア大学サンタバーバラ校でコンピュータ工学の修士号を取得している。1980年ラショナル社の設立と同時に入社し、多くのビッグプロジェクトのコンサルタントをつとめ、オブジェクト指向分析設計を広めてきた。現在は同社主任研究員として活躍している。
コンピュータ・ソフトウエアの開発に「王道はない」あるいは「銀の弾丸はない」 といったことはソフトウエア工学で著名な人たちが異口同音に言っていることだが、それでもセミナーなどに集まる人々はオールマイティに使える伝家の宝刀を求めてくる。しかし、ブーチもそのことは明確に否定している。
「残念ながら、分類への黄金道路などというものは存在しない。料理本に書かれるような安易な解答を見つけることに慣れている読者に対しては、クラスとオブジェクトを識別するための単純な調理法など存在しないのだ、とはっきり言っておきたい。「完全な」クラス構造とか、「正しい」オブジェクト一式などといったものは存在しないのである。どんな工学原理においてもそうであるように、我々の設計上の選択は、多くの競合する要素によって決定される妥協の産物なのである」
妥協の産物である、という箇所に若干違和感を感じられる方もいると思うが、現実を無視した設計はあり得ないし、 その現実は万華鏡のように限りなく豊饒 なのだ、ということをブーチは言いたいのだと思う。
現在のラショナル社(注)にはブーチを始め、OMTの ジェームス・ランボー やOOSEのイバー・ヤコブソン などが顔をそろえており、彼らの共同作業で統合された手法としてのUML(注2)ができあがった。ブーチはその統合に主導的な役割を果たした。現在はUMLの普及と推進とのために活躍している。UML導入の注意事項をブーチから聞いてみる。
ラシャナル社は2003年にIBMに買収され、現在はIBMの一部門となっている。
「CからC++に移行した頃のことをちょっと思い出してみようか。C++がとてもすばらしい言語だということは間違いない。ただ、それにしても、あまりにも何にでも使おうとしすぎたんじゃなかったかな。どれほど素晴らしいものでも、万能だと思うのはちょっと問題ありだよね。 UMLもそうだ。仕様書にあるもの、すべてを使おうとするのは得策ではない。使えるものから始めるべきだし、徐々に慣れていけばいいんだ」
これも、"さあやるぞー"と意気込んでいる有能な設計者には、味のある言葉になるのではないかと思う。
米国国防総省のきもいりで1970年代前半から構想がねられ、その当時手に入ったあらゆる言語が吟味され1978年に基本設計が終了。結局ALGOL68、PASCAL、PL/Iなどをベースに設計された。1979年Adaとして国防総省に納品された。特にモジュール性とポータビリティ(移植性)がすぐれているといわれている。
オブジェクト指向分析/設計手法について、ブーチ法、OMT法、OOSE法、シュレィア・メラー法など主立った手法を統合して提案されたもの。1997年にオブジェクト指向技術を標準化するための団体OMGに提出され、認定された。UMLはUnified Modeling Languageの略。
| Booch法:オブジェクト指向分析と設計 | Grady Booch著山城明宏/井上勝博/田中博明/入江豊/清水洋子/小尾俊之訳 | アジソン・ウェスレイ・パブリッシャーズ・ジャパン | 1995年11月 | 6200円 |
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| 月刊ドクタ・ドブス・ジャーナル日本版1999年2月号 | 翔泳社 | 1999年2月 | 1490円 | |
| 「Grady BOOCHインタビュー」オブジェクト指向分析・設計の巨人たち | ||||
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