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ティム・バーナーズ=リー

Tim Berners-Lee

1955 -

インターネットの恩人:WWWの仕組みを考案した人

1999/02/16 掲載

今日のインターネットは彼のおかげ

バーナーズ=リーと言っても知らない人のほうが多いかもしれないが、インターネットを利用するわれわれの恩人である。実は筆者も1年前までは知らなかったので、大きなことは言えないのだが、WWWのHTML(Hyper Text Markup Language)や HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)URL(Uniform Resource Locator)を考案した人である。したがって、その功績は、他のネットの人気者たちなど足下にもおよばないのである。ゲゲ〜そんなすごい人だったんか、と恐れ入ったところで彼の略歴を追ってみよう。

物理学よりもっとおもしろかったコンピュータの世界

バーナーズ=リーは1955年イギリスのロンドンで生まれた。1973年ロンドンのエマニュエル高等学校を卒業後オックスフォード大学に入学し、物理学を専攻した。1976年オックスフォードのクィーンズカレッジを卒業し、2年間イギリスの電話会社であるプレッセイ電信電話会社に勤め、分散システムやメッセージ転送、バーコード技術などを担当した。このあたりののキャリアがWWWの着想のルーツを作ったと思われる。1978年D・Gナッシュという会社に移り、ここでインテリジェントプリンタ用のソフトウエアやマルチタスクOS、マクロ・エキスパンダーなどを作った。彼はあるインタビューで、なぜ大学に残らなかったんですか? と聞かれて、物理学よりもっとおもしろいコンピュータの世界があったからと答えている。

欧州素粒子物理学研究所(CERN)

その後、1年半の間、個人でコンサルタントをしていたが、そのとき約6ヶ月スイスの ジュネーブにある欧州素粒子物理学研究所(CERN)にソフトウエア技術のコンサルタントとして入った。CERNはヨーロッパの12カ国が共同で作ったもので、巨大加速器を中心にした「研究都市」と言っても良いくらいの大きな組織である。数千人にのぼる研究者や参加者にいかに情報を行き渡らせるかというのが大きな課題だった。彼に託されたのはまさにそういった課題をクリアーできるコンピュータ・システムだった。この時期にまったく個人的な範疇ではあるが、ランダムに他の文書と連結できる仕組みをもった 情報管理ツールをバーナーズ=リーは作った。「Enquire」と名付けられたこのプログラムは公表はされなかったが、WWWの発想の原点になるものだった。1981年から1984年の間、彼はイメージ・コンピュータ・シッステム社の技術デザインの責任者になり、1984年には、科学データ閲覧のための分散リアルタイムシステムに関する業績で CERNからフェローシップを送られている。

初めてのWWWはNeXT上に誕生した

1989年彼はWWW(World Wide Web)として知られているハイパーテキストによる 分散システム上の情報形態の提案を公式に行った。テッド・ネルソンが最初に発想した ハイパーテキストのアイデアは形を変えて、インターネットの強力なツールとしてバーナーズ=リー によって実現されることとなった。かれは自分の案に基づいて、 CERNにあったNeXT(注1)のコンピュータ上にWebサーバープログラム(httpd)とクライアント側ブラウザー(WorldWideWeb)の環境を作った。この作業は1990年10月から始められ、1991年夏にインターネットで使えるようになった。最初のブラウザーはテキストベースでエディターの機能も兼ねていた。1991年から1993年かれはWWWの最初の設計をインターネット上の ユーザーと議論しながらより一般的に使えるように拡張していった。この時期にHTMLやHTTPの仕様が公開されたので、それに刺激されてViola、Celloといった 第三者作成になるブラウザーがインターネット上に流れ、その後ついにマーク・アンドリーセンの MOSAICが登場することになる。

注1:NeXTはスティーブ・ジョブスが立ち上げた会社で、彼のコンピュータはこんな所にも使われていたわけだ。

W3コンソーシアム

1994年バーナーズ=リーは住み慣れたヨーロッパを去り、米国マサチューセッツ大学のコンピュータ科学研究所に移って、W3コンソーシアムの責任者になった。W3コンソーシアムにはMITを始めとして、フランスのコンピュータ科学の研究機関であるINRIA(Institut National de Recherche en Informatique et en Automatique)、それに日本の慶応大学も参加している。米国はその社会の持つオープン性と機能性の圧倒的な魅力で、世界中の有能な人材を集め続けており、バーナーズ=リーもその能力をいかんなく発揮できる 環境を見つけたと言えるだろう。

1999年はXML元年か

ところで、HTMLはより拡張性のあるXMLに進化しそうな雲行きで、昨年末から続々と大手メーカーのXML対応のアナウンスがされている。1999年はXML元年となるに違いない。この共通なデータフォーマットができることでインターネットの重要性は一桁違うレベル に突入するはずだ。しかし、この90年代の何とあわただしかったことか。バーナーズ=リーのWWWが出たわずか10年前が、はるか大昔のような気がする。

参考文献および関連書籍の紹介
WWWとブラウザの開発の歴史と仕組みを知る 日経バイト1998/08号 日経BP社 1998年8月  0円
「Webの創成」 Tim Berners-Lee著 Mark Fischetti協力 高橋徹監訳 毎日コミュニケーションズ 2001年9月  2400円
インターネットソースの紹介
ティムのホームページ(別ウィンドウ)
http://www.w3.org/People/Berners-Lee/
ティムのブログ(別ウィンドウ)
http://dig.csail.mit.edu/breadcrumbs/blog/4
ティムのブログだが、ちょっと書き込みが止まってしまっているよう。もっと書いて欲しいのだが。
欧州素粒子物理学研究所(CERN)のページ(英文)(別ウィンドウ)
http://public.web.cern.ch/Public/Welcome.html
つくばビジネスネットワークと茨城県インターネットフォーラムが企画するページ(別ウィンドウ)
http://www.ibarakiken.gr.jp/www/index.html
最初のWWWサーバーの写真が紹介されている
(2002/08/29 読者からの投稿で追加しました)

 

 

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