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Iida Kazutoshi
1968 -
不思議なゲーム:アクアノートの休日の作者
アクアノートの休日は実に不思議なゲームだ。何か敵を倒すとか競争をするとか、 ミッションを遂行するとかがゲームにはつきものだが、飯田氏のアクアノートの休日にはそういったものはいっさいない。 なにもしなくてもよいのだ。これはゲームなのだろうか?
テレビゲームはかなり早くからジャンル分けされていた。 アドベンチャー、ロールプレイイング、シューティング、シミュレーション、アクション、 レーシング等々である。飯田氏のゲームはジャンル分けを拒否するかのごとく、 どのジャンルにも入らない。なぜこのゲームを企画したのか飯田氏のインタビュー記事 から引用してみたい。
「あまりにもゲームがハリウッド指向というか大作指向の方に流れすぎちゃって、ゲームが生まれた頃の躍動感や自由さ、いい加減さみたいなものがなくなってきた感じがして。こりゃまずいと。本来ゲームってあらゆる表現の自由があるもので、一定の方向だけというのは不健全な気がしてたんです。「アクアノート」はそんな、かつてのいかがわしさを持ったゲームをもう一度作ろう、みたいなところから始まっています」
飯田和敏氏は1968年日本国の東京に生まれた。多摩美術大学の油絵科に入学した。 在学中からゲーム制作の世界に魅せられ、卒業すると、その頃パソコン用のゲームソフト を制作していたアートディンクに入社した。入社して2年目くらいのとき、 1995年6月に自分が企画した「アクアノートの休日」をプレイステーションで出す。 1996年6月独立して仲間と有限会社パーラムを設立した。 現在はNINTENDO64DD向け(注1)の「巨人のドシン」を制作中である。
1996年4月に、やはりプレステで発売された飯田氏の第二作目も、 一作目と比べると若干ゲーム性みたいなものを感じるが、依然としてふつうの意味での ゲームではない。原始人となったプレイヤーがひたすら原っぱをかけめぐるゲームで、 この作品も以外と評判がよかった。デビュー作「アクアノート」とこの「太陽のしっぽ」の2連続パンチ で、飯田氏は一躍、既成ゲームの殻をやぶる存在として注目をあつめた。
ジャンルを越えたゲームの登場は飯田氏の「アクアノート」が初めてだったと記憶しているが、 プレステからはその後リズムをモチーフにしたパラッパラッパーなど、新しいゲーム性を追求した作品がいくつか発表されている。SCEは積極的にゲームの枠を広げようとゲーム業界以外からもクリエーターを受け入れた。こうしたSCEのオープン戦略は、任天堂の敷居を高くして品質を守るという方向とは正反対だが、ゲームソフトの層の厚さの差は歴然としてきている。
飯田氏は3作目を創るにあたって、プラットフォームをプレステから任天堂64へ変えた。 それもいつでるのか、任天堂は本気なのかすらわからなかった64DDである。 この彼のかなり変わった選択は、3作目の命運をきめるはずだが、すべてわかったうえでの飯田氏の思い入れがあるに違いない。 「巨人のドシン」は1999年12月の発売予定だそうだ。ゲーム界の鬼才と言ってもよい飯田氏には、このあとも型破り、おきて破りの斬新なゲームを期待したいが、3作目の行く末は正直言って不安だ。成功をいのりたい。
64DDは元々書き換え可能なメモリーをゲーム機に取り付けようとして構想された。 それがあると、状況に応じて内容が変化するようなゲームが可能になるので、 当初はかなり期待された。しかし1996年6月に64が発売されたときに64DDは 付いていなかった。その後何度も何度も発売予定と発売延期の発表がくりかえされ、 その過程でほとんどの人の熱はさめてしまった。ほんとうにオオカミ少年を地でいった話 になってしまっている。1999年12月に64DDは発売される。 ただし店頭にはならばない。ランドネットという会員制ネットに加入し、 毎月2500円なりを払う契約をむすぶと、やっと発送されるらしい。 クレジットカードが必要、返品はできない、解約には違約金をとられる、 など64がターゲットにしている小学生中学生向けとはおよそかけ離れた内容になっている。 こうしたことから任天堂の意図を憶測することはたやすいが、 この仕組みが日をおかずして崩れることは間違いない。
| 「スーパーヒットゲーム学」 | 飯野賢治著 | 扶桑社 | 1998年6月 | 1333円 |
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| 飯野氏は意外だが聞き上手だ。かれのインタビューはおもしろい | ||||
| アートディンク飯田和敏氏インタビュー | 「ゲーム批評」1996年april号Vol.8 | マイクロデザイン出版局 | 1996年3月 | 760円 |
| 飯田和敏・平林久和かく語りき | 「ゲーム批評」1998年11月号Vol.23 | マイクロデザイン出版局 | 1998年10月 | 780円 |
| 盗まれた「マザー」と憧れの君 | 「ゲーム批評」1999年11月号Vol.29 | マイクロデザイン出版局 | 1999年10月 | 780円 |
| 究極にして、最終形。そして次の幕をあける衝撃的ゲーム | 「ゲーム批評」1997年7月号Vol.15 | マイクロデザイン出版局 | 1997年6月 | 780円 |
| ゲームの天才 | じゅげむMOOK | リクルート | 1998年4月 | 933円 |
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