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ビル・ジョイ

William N. Joy

1955 -

バークレー版UNIX(BSD)の開発者

1999/02/23 掲載

かっこいいお兄さん

ビル・ジョイは天然パーマのもじゃもじゃ頭に済んだ瞳でいつまでも若々しいお兄さんといった感じで、サインの一つももらいたくなるかっこよさがある。しかし気安くサインをねだるわけにもいかない。今をときめくサン・マイクロシステムズの屋台骨をささえる人なのである。

バークレーで知り合ったUNIX

ビル・ジョイは1955年米国のデトロイトで生まれた。1971年ミシガン州立大学に 入学して電子工学を専攻した。1975年に卒業すると、電子工学とコンピュータ科学を学ぶため、 カリフォルニア大学のバークレー校修士課程に入学した。 バークレー校は1974年にUNIXVersion4のライセンスをAT&Tから取得し、 UNIXを導入しはじめていた。翌年の1975年にはAT&Tから原作者である ケン・トンプソンが休暇を利用してバークレー校に来てくれて、PDP−11へできたばかりのVersion6をインストールしてくれた。ちょうどこの年にビル・ジョイは大学院に入るためにバークレーにやってきたのだった。

バークレー版UNIX(BSD)

すぐに彼は同級生のチャック・ハーレーとUNIXの改良にとりかかった。 初期のUNIXの弱点であるバーチャル・メモリー機構と、ネットワーク機能の追加が大きな目標だった。その他にも、スクリーン・エディタの定番(vi) の開発(viはAT&TのUNIXでも公式エディタとして使われていた)、C言語ライクのシェル・スクリプトで、ジョブ制御を初めて可能にしたCシェル(csh)、モニター端末に依存しないキャラクターグラフィックスをサポートするライブラリ(termcap) など多くの機能拡張を行った。これらのバークレー拡張機能は後にAT&T版UNIXのVersion7に逆移植されたが、TCP/IPとイーサーネットLANへの対応などのネットワーク機能が充実していた点と仮想メモリをふんだんに使えることが大きく、バークレー版UNIX(BSD)として広く使われることになった。

サンの設立に参加

ビル・ジョイは修士号を取得して、まだ大学院に残っていたが、 1982年にアンディ・ベヒトルシャイムに誘われてサン・マイクロシステムズの設立に参加し、ビジネスの世界に入ることになった。サンではNFS(Network File System)のデザインや、サン独自のRISCチップであるSPARCの設計などに大きな力を発揮した。またJAVAやJiniの構想は彼がながいあいだ温めていたものだ。

Jiniの発表

1999年1月25日米国サンフランシスコで開かれたWorld Analyst Conference会場で サンはJiniを正式に発表した。ビル・ジョイも登場し、彼らしく手書きの説明図を用いて 技術解説を行った。いまコンピュータの話題はコンピュータの世界を離れて ネットワークの世界になっている。家電製品ばかりでなく自動車、カメラ、住宅、 衣服、家具などありとあらゆるものがネットワークにつながれ交信するという状況を想定した世界で、 そのシステム作りの競争が始まっているのである。 マイクロソフトもユニバーサル・プラグ&プレイという構想を発表しているが、まだあくまで構想段階だ。むしろこの分野は日本の 坂村健さん率いるTRONが10年以上の大先輩で、三者三つどもえの競争が次第にあらわになってくると思う。( プロセスコンピューティングの未来を参照)

最新の優れた技術をパブリック・ソースで提供する

Jiniはもう一つ大きな特徴を持っている。それはオープン・ソース (サンはコミュニティ・ソースと言っているが)だ。日経コンピュータ1998/12/7号のビル・ジョイ特別インタビューからその辺のビル・ジョイの考えを引用したい。

「jiniに対するサンの哲学は、技術を広く公開し、世界中の優秀な人材の参加を求めることです。このやり方は、すべてのことを自分で決定したがるマイクロソフトのアプローチよりも格段に優れていると思います。」
日経コンピュータ1998/12/7号
「最新の優れた技術をパブリック・ソースで提供することが格段に重要な仕事だと考えているんです。Jiniのソース・コードを入手することは大学にとって非常に画期的なことです。なぜなら、最新技術の進歩に貢献できることになるからです」
日経コンピュータ1998/12/7号

次の目標は?

「Jiniです。約20年の長きにわたって私はJavaとJiniの研究に携わってきました。Jiniには多くの局面があり、この先何年かは、私の活動の中心になると思います」
日経コンピュータ1998/12/7号

サン・マイクロシステムズはUNIXに基礎を置く高い技術力を持つ会社として定評があるが、 ここにきてJAVA、Jiniと時代を先導するテクノロジーをもって、 その影響力は日増しに強くなっている。 こうしたサンの底力をささえているのはビル・ジョイの頭脳である。

参考文献および関連書籍の紹介
「Life with UNIX」 Don Libs & Sandy Ressler アスキー出版局 1990年7月  3000円
ビル・ジョイ特別インタビュー 日経コンピュータ1998/12/7号 日経BP社 1998年12月  0円
「パーソナルコンピュータを創ってきた人々」 脇英世著 ソフトバンク 1998年11月  1400円

 

 

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